損切りは、迷うな。IFD・OCO・IFOで出口を先に置く型|2026年9月版
損切りができないのは、意志が弱いからではない。含み損を抱えた人間の判断を信じる設計にしているからだ。ならば、建てる前に出口を置け。

※本記事には広告(PR)を含みます。
損切りができない者を、道場は何人も見てきた。逆行しても切れず、戻るのを待ち、待っているうちに口座資金の三分の一が消える。本人は意志の問題だと言う。違う。
結論を先に置く。損切りは、含み損を抱えた自分に判断させるべき仕事ではない。建てるより前に、出口の価格を注文として置いておけ。そのための型が、OCO注文・If Done注文・If Done+OCO注文の三つだ。この記事では、東京金融取引所が公表している定義でその三つを整理し、許容損失から出口の価格を逆算する順序まで叩き込む。
出口は、建てる前に置く
順序が逆になっている者が多い。まず建てて、それから「どこで切るか」を考える。この順序では、考える時点で既に含み損を見ている。人は損を確定させたがらない生き物だから、切れない。
建てる注文と同時に出る注文を出せば、判断の場面がひとつ減る。取引所FXであるくりっく365は、主な注文手法としてIC条件付き成行注文・指値注文・トリガー注文・OCO注文・If Done注文・If Done+OCO注文の6つを挙げている。このうち後ろの三つが、出口を先に置くための型だ。
三つの型を、取引所の定義で覚えよ
OCO注文――出口を二つ用意する
指値、トリガー(成行)の二つの注文を同時に行う注文手法です。二つのうちどちらかが約定したら、もう一方の注文は自動的にキャンセルされます。東京金融取引所「主な注文方法」
既に建玉を持っている状態で、上に利益確定、下に損切りを置く。片方が通れば、もう片方は消える。取り消し忘れによる意図しない新規建玉が起きない点が、二本を別々に出すのとの違いだ。
If Done注文――入口と出口を一度に出す
IfとDoneの二つの種類の注文を同時に発注し、If注文が約定したら、Doneの注文を自動的に発注する手法です。ただしIf注文が成立しない限り、Done注文は発注されません。同
取引所が挙げている例では、132円00銭になったら買うという最初の指値注文に、それが成立したら148円00銭で売るという次の注文を組み合わせる。入口が通らなければ出口も出ないという条件つきの構造になっている。
If Done+OCO注文――入口ひとつ、出口ふたつ
IfDoneではDone注文は1種類しか指定できませんが、IfDoneOCOでは2種類の注文が指定できます。これも、どちらかが成立したら、もう一方は自動的にキャンセルされます。同
取引所の例では、132.00円で買うIf注文を置き、成立したら148.00円で利益確定、122.00円で損切りというOCOが自動で発注される。建玉が生まれた瞬間に、上下の出口が両方立っている。これが、損切りを人間の判断から切り離す最も素直な形だ。
| 型 | 入口 | 出口 | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| OCO注文 | 置かない | 2つ | すでに持っている建玉に、利確と損切りを同時に置く |
| If Done注文 | 1つ | 1つ | 指定価格で入り、出口も片側だけ決めておく |
| If Done+OCO注文 | 1つ | 2つ | 入る前に、利確と損切りの両方を確定させる |
置ける場所には枠がある
出口の価格を決めても、そこに注文が置けるとは限らない。東京金融取引所は通貨ペアごとに注文受付可能幅を定めており、基準価格からの許容範囲を数字で公表している。
| 通貨ペア | 注文受付可能幅(基準価格から) |
|---|---|
| 米ドル・円 | ±3.000円 |
| ユーロ・円 | ±4.000円 |
| 英ポンド・円 | ±5.00円 |
| トルコリラ・円 | ±1.80円 |
| 南アランド・円 | ±0.700円 |
米ドル・円なら、基準価格から3円を超えて離れた指値は受け付けられない。暴落に備えて10円下に損切りを置いておくという発想が、そもそも成立しない。枠の外に逃げ場を作る代わりに、枠の内側に収まる量まで建玉を落とせ。
ついでに残る二つの型も押さえておけ。IC条件付き成行注文は「価格を指定せずに、通貨ペアの取引数量のみを指定して売買する注文発注手法」で、取引所は「ビッドオファーがない場合には直ちにキャンセルされます」と説明している。トリガー注文は条件価格を設定して発注する方法で、トリガー(指値)は「売買したい価格」と「発注の条件となる価格」の二つを、トリガー(成行)は条件となる価格だけを入れる。
名前は会社ごとに違う。中身で確かめよ
同じ機能が IFO と呼ばれたり、IFD-OCO と呼ばれたり、If Done+OCO と表記されたりする。取引所自身が、扱いの違いを明記している。
但し、取扱会社により、サービスを提供する注文手法が異なる場合もありますので、必ずお取引先の取扱会社(取引参加者)にご確認ください。東京金融取引所「主な注文方法」
取引所を通した同じ商品でさえ、提供される注文手法は会社ごとに違う。店頭FXならなおさらだ。名前の一致で機能の一致を推定するな。確かめるべきは、出口が何本置けるか、有効期限がどう扱われるか、片方が約定したときもう片方が確実に取り消されるかの三点である。
自動化しても滑る。だから種別ごとの記載を読め
注文を置いたからといって、その価格で約定するとは限らない。金融先物取引業協会の金融先物取引業務取扱規則第25条の2の3第3項は、店頭FXの取引説明書等に、注文種類別に次の三点を書かせている。
| 記載が求められる事項 | 読むときの着眼 |
|---|---|
| スリッページが発生することがある場合は、その旨 | 自分が使う種別に発生の可能性があるか |
| そのスリッページの発生原因となる仕組みの概要 | どういう相場状況で起きると書かれているか |
| スリッページが発生する場合における顧客の有利不利の状況 | 不利な側だけに出る設計になっていないか |
種別ごとに書かせているのは、種別ごとに扱いが違うからだ。成行の説明を読んで、逆指値も同じだと決めつけるな。指標発表時の滑り方についてはスプレッド拡大とスリッページで別に扱っている。
ロスカットは、損切りの代わりにならない
どうせロスカットがあるから、と出口を置かない者がいる。金融先物取引業協会は、そのロスカットについてこう書いている。
ロスカット取引とは、必ず約束した損失の額で限定するというものではありません。一般社団法人 金融先物取引業協会「ロスカット・ルールの整備・遵守の義務付け」注2
同じ注記は「実際の損失はロスカット水準より大きくなる場合が考えられます」と続く。さらに同協会のロスカット取引関係の細則第4条第3項は、ロスカットが行われる場合であっても証拠金を上回る損失が発生する可能性を、あらかじめ顧客に説明せよと定めている。
ロスカットは会社が自らのリスクを管理するための装置であって、あなたの損切り計画ではない。発動する頃には、口座資金の大半が消えている。維持率との関係は証拠金維持率の実計算で扱った。
許容損失から逆算し、価格に落とせ
注文を置く前に決めるのは、価格ではなく金額だ。1回のリスクは口座資金の2%までという掟から順に落とす。
米ドル・円を1万通貨で建てる
損切り幅 = 10,000 ÷ 10,000通貨 = 1.00円
建値158.00円で買う場合
損切り注文 → 157.00円
利確注文(損切り幅の2倍) → 160.00円
この二本をOCOで置く。あるいは、158.00円で入るIf注文と組んでIf Done+OCOにする。切りのいい価格に丸めるな。許容損失から割り算で出た価格をそのまま置け。通貨数を5万に増やせば損切り幅は0.20円まで縮まる。くりっく365の米ドル・円の刻み幅は0.005だから、0.20円は40刻みぶんしかない。量を増やすほど、出口は建値に近づいて逃げ場がなくなる。この関係は通貨単位と1目盛りの金額で数えてある。
剣を抜く前に、引く足の位置を決めておけ。抜いてから考える者は、抜いた場所から動けなくなる。
道場の心得:注文で縛れ、意志に頼るな
三つに凝縮して叩き込む。
- 建てると同時に出口を出せ。If Done+OCO注文なら、建玉が生まれた瞬間に利確と損切りが両方立つ。
- 名前でなく中身を確かめよ。取引所を通した同じ商品でも、提供される注文手法は会社ごとに異なると明記されている。
- ロスカットを損切り計画に組み込むな。あれは損失を約束した額で限定する仕組みではない、と協会自身が書いている。
よくある問い
- OCO注文とは何か。
二つの注文を同時に出し、どちらかが約定したらもう一方が自動で取り消される注文である。東京金融取引所は「指値、トリガー(成行)の二つの注文を同時に行う注文手法です」「二つのうちどちらかが約定したら、もう一方の注文は自動的にキャンセルされます」と説明している。利益確定と損切りを同時に置く使い方が一般的だ。
- If Done注文とOCO注文の違いは何か。
If Doneは入口と出口を一度に出す注文で、OCOは出口を二つ用意する注文である。東京金融取引所は If Done について「ただしIf注文が成立しない限り、Done注文は発注されません」と説明している。二つを組み合わせたのが If Done+OCO注文で、同取引所は「IfDoneではDone注文は1種類しか指定できませんが、IfDoneOCOでは2種類の注文が指定できます」と書いている。
- IFOという呼び方は公式のものか。
取引所の資料では If Done+OCO注文と表記されている。呼び名は会社によって異なる。東京金融取引所自身も「取扱会社により、サービスを提供する注文手法が異なる場合もあります」と注記しており、名前ではなく中身で確かめる必要がある。
- 注文を自動化すれば指定した価格で必ず約定するか。
しない。金融先物取引業務取扱規則第25条の2の3第3項は、取引説明書等に注文種類別でスリッページの有無・発生原因の概要・顧客の有利不利の状況を記載するよう定めている。注文の種類ごとに扱いが違うため、自分が使う種別の記載を読め。
まずは取引先の取引説明書を開き、使える注文の種類を書き出せ。出口を二本置ける型があるかを確かめる。次に許容損失を割り算して、損切り価格を紙に書く。その価格を注文として置くまでが一連だ。今日の稽古は、そこから始めよ。